【導入事例】
OKR・1on1・360度フィードバックで組織風土を変革

更新日: 2023-01-18

杉本 卓 サイオステクノロジー株式会社 UI/UX・HR Tech Service Line 執行役員SLヘッド

塚元 恵梨奈 サイオステクノロジー株式会社 DEI推進ServiceLine サービスラインヘッド

梅壽 泰邦 サイオス株式会社人事サービスラインヘッド

 

OKRと1on1を導入した企業に対して、株式会社アジャイルHR代表取締役の松丘啓司がインタビューを実施します。今回はサイオステクノロジー株式会社杉本様、塚元様サイオス株式会社梅寿様にお話を伺いました。

 

松丘:最初に、御社の事業内容についてお聞かせください。

 

杉本:サイオステクノロジー株式会社は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア (OSS)とJavaをコアテクノロジーに、システムやソフトウェアの設計、開発、販売、サポート/保守サービスなど、幅広くサービスを提供しているサイオスグループの事業会社です。

 

OKRと1on1と360度アセスメントを同時に導入し、継続的に改善

 

松丘:今回はOKRや1on1の導入の経緯と苦労されたことや良かったことなどについて伺いたいと思っています。

 

梅壽:松丘さんの全面的なバックアップの元、2019年にOKRと1on1を導入しました。まずは、「OKRと1on1とは」というところから始まりましたが、社内で説明するより社外から説明して頂いた方が納得感はあったと思います。

 

特に当社の場合、OKR導入に合わせて評価制度を360度アセスメントに変更しましたので、評価制度の変更も併せて実施したという点ではかなりバタバタ感はありました。また、OKRの達成度は評価に用いない点は、社員の皆さんには理解しづらかった点の一つかと思います。

 

360度アセスメントに関しては、導入当初はアセッサーを会社と本人が指名し、アセッサーは評価制度における一次評価者とする運用で開始しました。、しかしながら、360度アセスメントと評価制度を直結すると、360度フィードバックの良さが損なわれる等の問題が生じたため、今年から360度フィードバックと評価制度を完全分離しました。360度フィードバックは、感謝、成長への助言等のフィードバックにフォーカスして、年に2回行うことにしています。

 

1on1は、一般的には上司と部下との定期的な面談ですが、当社の場合は部下は上司に限らず同僚等に対しても1on1を依頼できます。ただし、上司側から1on1を依頼できるという運用としていなかったため、導入からしばらくの間は1on1の定着は進みませんでした。

 

その後は塚元さんに、上司側からも1on1を依頼できるなど、1on1の運用や促進施策を考えてもらった結果、実施回数は伸びてきました。ただ、1on1の中身についてはまだまだ改善の余地があるかなと思います。

 

心理的安全性はじわじわと向上

 

松丘:心理的安全性といった観点から、1on1を導入して今までより話しやすくなったとか風土的な変化はありましたか。

 

梅壽:それはあると思います。OKRや1on1の導入にあわせて、「上意下達の風土をやめて心理的安全性が高い職場にしましょう」という取り組みをずっとやってきました。その結果、以前に比べるとかなり発言しやすい雰囲気になったと思っています。

 

塚元:心理的安全性について、1on1の定期的アンケートで「あなたの心理的安全性の度合いはどのくらいですか?」という5段階評価でとったところ、私の予想ではもっと2とか1が多いと思ったのですが、実際は3や4が多かった印象です。

 

同時に、「あなたにとっての心理的安全性はどのような状態ですか?」というのも言語化してもらっていて、一人ひとりが心理的安全性の高いと感じられる状況に、徐々に向かっていっているのかなと思っています。

 

話したい人と話したいことを話す

 

松丘:1on1を導入する前と後の変化についてお伺いできますか?

 

杉本:OKRと1on1を導入したタイミングはコロナになる直前でした。そのため、在宅勤務になっても、オンラインでの対話には比較的スムーズに対応できたと思います。1on1については、対面よりオンラインの方が話しやすいというメンバーもいます。現地で顔を見ながらその時の空気を一緒に味わうことも一つの醍醐味なので、ケースバイケースで使い分けています。

 

松丘:主にどういうテーマでお話しされているのでしょうか?

 

杉本:OKRに沿いながら進捗を確認することもあれば、互いの状況を伝え合うような対話もあると思います。話したいことを何でも話してよいというスタイルなので、仕事で困っていること、将来やってみたいこと、ライフスタイルで悩んでいること、部署のリーダーが知っておいた方がよいことなども話されています。同じ人と回数を重ねていくとだんだん自己開示ができるようになって、プライベートのことも自然に話せるようになってきたという声も聞かれますね。

 

松丘:直属のリーダーだけではなくて誰と話してもよいということですが、効果は出ていますか?

 

塚元:ある営業の女性が、他の部署で活躍している先輩の女性の話を聞きたいと1on1をリクエストした時、リクエストされた先輩の方から嬉しかったっていう言葉を聞きました。話したことはなくても1on1という共通言語があることで受け止められ、「じゃあ話しましょう」という流れができたのは非常に良かったと思いました。このような事例を共有していくことで、これから更に1on1が広がっていくと思います。

 

トライアンドエラーを繰り返してOKRのベクトルを合わせる

 

松丘:OKR導入前後を比較すると、どのような変化が見られましたか。

 

梅寿:元々、当社には業績の目標数値はありましたが、それ以外の部分での目標はありませんでした。OKRはトップのOKRがあって、それに紐づける形で2段階、3段階と下位層のOKRを設定していく。このような取り組みは初めてでしたが、以前はわからなかった会社全体の目標が可視化されたのは利点だと思います。

 

一方、OKRは60%から70%ぐらいの達成度を想定して設定するということで、その目標レベルの設定の難しさと、管理部門のようなバックオフィスでは比較的ルーティン業務が多い部署では目標を数値化しにくいという難しさがあります。

 

松丘:OKRを導入したことで、「全社のベクトルが合ってきた」という実感はありますか?

 

梅寿:全社のベクトルという意味では全社トップのOKRが示されていますので、「それに向かっていこう」と皆さん意識していると思います。また、グループ会社の3社がOKR導入後にサイオステクノロジーと合併したのですが、OKRの研修、書籍の配布等を通じて理解を深めていただき、ベクトルを合わせるという活動を進めて来ました。

 

塚元:私はまさにOKRと直面しながら現場でやってきました。部署のOKRがあって、そのKRに自分のチームのOKRが紐づいていて、メンバーである私はチームKRに自分のOKRをつなげるという立ち位置でしたが、チームのOKRと自分のOKRがなかなか擦り合わないことに最初は苦労しました。自分の設定OKRが本当にチームのKR指標に直結しているのか疑問に感じる時がありました。

 

ただ、3ヶ月とか半年やってみて、ちょっと違うなということがあったら自分のOKRを変えていくこともできるし、自分のやりたいことはどんどんやっていってほしいとリーダーから言ってもらえたので、変えることはできるのだなっていう安心感はありました。そういう意味で、自分の意見は違うっていうのを言えるチームでよかったなって思っています。

 

トップが関心を持ち続けることが継続の鍵

 

松丘: 4年前に御社の喜多社長が「変えよう」と強い意志を持って、これらの変革を始められましたが、今でも喜多さんから思いを伝え続けられているのでしょうか?

 

梅寿:トップのOKRをどうするかによって、会社全体の方向性が変わってきますので、常に意識されています。四半期ごとに開催される社員集会でもかならずOKRの話は出ますし、トップの喜多がOKRへの思いを伝えて行くことが重要だと考えております。

 

松丘:本日は、どうもありがとうございました。

 

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